2013年1月11日金曜日

バガヴァーン・ラマナのユーモア - クンジュ・スワーミーの思い出

◇『大いなる愛と恩寵(Surpassing Love and Grace)』、p136~138

12.シュリー・バガヴァーンのユーモア

エブリン・カセロウ

 私がバガヴァーンがかつて冗談を言ったことがあるのか、かつて楽しげな様子でいたことがあるのか尋ねた時、シュリー・クンジュ・スワーミーはいわば私の誤りを正すために私に飛びつき、恍惚とした状態になりました。彼は目に涙を浮かべ、言いました。「バガヴァーンはあなたが考えうる最も自然体の(飾らない)人です。彼はとても繊細なユーモアの感覚を持っていました。それは誰も傷つけず、決して誰かを狙ったものではありませんでした。彼はまた他人の冗談も理解しました。それが自分を犠牲にするものであってもです!」。私はもどかしくなり、彼にいくつか実例を話してほしいと思いました。彼は以下のことを語りました。

 ある時、男の子がシュリー・バガヴァーンの前に座っていました。ハエが彼を悩ませており、彼はハエを殺していました。これを見て、バガヴァーンは彼に言いました。「殺してはいけません。それは悪いことです」。少し後で、男の子はバガヴァーンをじっと見て、発言しました。「あなたは殺すことが悪いことだと言います。僕は僕を悩ませていた小さなハエを殺していただけですが、あなたは大きな虎を殺して、その皮の上に座っています。どうしてですか」。バガヴァーンは笑い、言いました。「なるほど、あなたが言うことは全く正しい!」。


 同じ男の子は、他の人と座っている時、葉っぱのお皿に給仕された食ベ物を無駄にする癖がありました。ある時、バガヴァーンは彼に、食べ終わった時、お皿の上に何も残さないようにと言いました。その日も男の子は全部食べ切れませんでしたが、口に何か詰め込み、空の葉っぱを出しました。バガヴァーンは彼が空の葉っぱを出したのを見ました。しかしながら、その男の子は葉っぱを捨てた後、口に詰め込んだ食べ物も吐きだしました。それはバガヴァーンに報告されました。彼は男の子のトリック(策略)を楽しみ、大いに笑いました。

  シュリー・バガヴァーンと他の信奉者と一緒によく山を回っていた別の男の子は、他の人たちが讃美歌や祈りの文句や聖歌をよく歌っているのに、いつも黙っていました(山の周りを歩いている時、バガヴァーンは時にはその男の子の肩を持ちさえしたものでした)。ある日、一行の全ての人が歌や何かを歌った後で、バガヴァーンはどうして彼だけが歌わなかったのか尋ねました。男の子の自然な答えは、シュリー・バガヴァーンを思う存分笑わせました。それは、「ジーヴァンムクタが歌ったりしますか」でした。

 『サット・ダルシャナ・バシャヤ』の著者であるシュリー・カパリ・シャーストリアルは、シュリー・バガヴァーンと若い時分からとても親しくしており、バガヴァーンが敬意を表す言葉を前につけることも、後につけることもなく親しげに話しかける、とてもわずかな人々の内の一人でした(バガヴァーンはとても几帳面に全ての人に、子供にさえも、必ず敬意をもって話しかけていました)。彼の両親はとても熱心に彼を結婚させようとしており、彼自身はそれに断固として反対していました。彼らは結婚するよう彼を説得するために、バガヴァーンに話を持ちかけさえしました。ある日、シュリー・カパリ・シャーストリアルはバガヴァーンに近づき、言いました。「バガヴァーン、明日、私はアーシュラマ(*1)(人生の段階)に入ることにします」。彼の結婚への反発と彼の両親の心配を知っているバガヴァーンは驚き、言いました。「カパリ、何を言っているのですか。両親の許可を取ったのですか」。彼は神妙に答えました。「ええ、バガヴァーン!私は2番目のアーシュラマ(つまり、結婚)に入ります!」。バガヴァーンは大いに笑い、冗談を楽しみました。

 ヴィラチェリー・ランガ・アイヤルの娘で、ルクミニという名前の10歳の少女は、彫像のように座り、シュリー・バガヴァーンの前でよく瞑想していました。彼女の横に座っている年上の男の子か、女の子の中には、彼女を邪魔しようとくすぐる子もいました。バガヴァーンはその全てを楽しんで見ていました。ある日、ルクミニは沐浴した後、いつものように、(ヨーギのように)瞑想のために真剣に座りました。(まだ沐浴していない)近くにいた男の子は彼女をからかって、「触っちゃうぞ」と言いました。ルクミニは、「誰も私に触れないわ!」ときっぱり答えました。バガヴァーンは彼らを見ていました。彼女はバガヴァーンの方を向き、尋ねました。「もちろん、誰も私に触れません。彼らは私の体にだけ触れます。どうして誰かがに触れるのですか」。バガヴァーンは驚いた表情をして、彼女の発言の奥深さを評価しました!

 毎日、シュリー・バガヴァーンに食べ物を与えていたムダリアール・パーティは、お米を強く握ってある形にして、おにぎりを作ることで、いつも彼に調理されたお米を多く給仕しようとしていました。ある日、シュリー・バガヴァーンは彼女のトリックに気づき、言いました。「彼女は賢い。彼女は食べ物を少なく見せることによって、それをより多く私に給仕できるだろうと思っています。私は彼女のトリックを知っています!」。バガヴァーンは彼女が手でお米を握るしぐさをしました。それをきっかけにして、ムダリアール・パーティの返答が一直線に来ました。「バガヴァーン!多いとは何ですか、少ないとは何ですか。大きいものも、小さいものもありません。全てのものは、ただ私たちのバーヴァナー(*2)(考え、思い)です」。

原注
(*2)バーヴァナーは「しぐさ」も意味します。

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