1949年12月8日
(261)欺瞞の装い
1944年のある日の午後、信奉者たちがバガヴァーンの面前で種々様々な事柄について話していた時、欺瞞の装いと談話というテーマが議論に上りました。バガヴァーンに話しかけ、ある信奉者が、「いくらかの人々は、世間を欺くためにあらゆる類の偽りの装いを身につけます」と言いました。
バガヴァーンは、「ええ。いくらかではなく、多くがです。それがどうかしましたか。人々が偽りの装いを身につけるなら、最終的に悩むようになるのは彼ら自身の心です。彼らは他者が彼らについてどう思うのか恐れ始め、彼らの心が彼ら自身の敵になります。人々が偽りの装いを身につけることによって他者を欺くことを考えるなら、彼ら自身が最後には欺かれます。彼らは、『我々は計画を立て、他者を欺き、それによってたいへんな賢さを示した』と思います。うぬぼれて、彼らはよりいっそうの欺瞞を働きます。彼らの行いの結果は、欺瞞が暴かれた時にのみ実感されます。その時が訪れるなら、彼らは彼ら自身の欺瞞の結果、崩れ落ちます」と言いました。
みながバガヴァーンは誰を思い浮かべていたのだろうと思っていた時、ヨーギ・ラーミアが、「スワーミー、これによって私は1つの出来事を思い出しました。私はバガヴァーンがかつてパンガナーマム(*1)をつけたことをどこかで読んだのを思い出しました。それは本当ですか」と言いました。
バガヴァーンは以下のように返答しました。「ええ。それは私の山の上での生活の初めごろのことでした。当時、何人かのヴァイシュナヴァイテが私のもとへやって来ており、彼らの執拗な要望で、それによって失うものは何もなかったので、私はナーマムをつけていたものでした。
それだけではありません。かつて私が何をしたのか知っていますか。アルナーチャレーシュワラ寺院でカルヤーナ・マンダパム(*2)が建設された頃のことでした。それはナヴァラートリ(ダシャラー祭)の時でした。寺院では、バージャンの一団が崇拝のための人形の展示を準備していました。私は誰かが私だと気づき、あらゆる類の奉仕をし始めるのを恐れていたので、パラニスワーミーのドーティ(*3)を身につけ、別の布で体を覆い、ヴァイシュナヴァイテのようにナーマムをつけ、彼らと共にゆきました。寺院の管理人たちは私をよく知っていました。私は彼らを避けたいと思いました。しかしながら、彼らはまさにその門のところで私に気づき、『スワーミー!スワーミー!あなたもスワーミーを見にここに来たのですか?あなた自身がスワーミーではないのですか?』と言いながら、私を追いかけてきました。どうしたらいいのでしょうか。私は私自身を偽っているように感じました。私は何とか彼らから逃れ、中に入りましたが、すべての人が私だけを見ているように感じました。私はマンダパムを見ず、また他の何も見れませんでした。私は気づかれずに帰ろうと思い、引き返しましたが、アルチャカ(司祭)たちの長が私を再び門のところで捕まえました。『スワーミー!スワーミー!この服で来たのですか?ああ!なんと素晴らしいことですか、スワーミー!待って下さい』。そのように言い、彼は私を引きとめ、彼の助手に呼びかけ、『君たち!花輪を持ってきなさい。サンダル・ペースト(*4)を持ってきなさい。プラサーダム(*5)を持ってきなさい。我々のブラフマナスワーミーが主クリシュナの衣服を身につけ、ここに来ました。これは我々の大変な幸運です』と言いました。そのように言い、彼らは寺院の儀礼を浴びせかけ始めました。私は何とか彼らの注意から逃れ、去りました。後に、私は何度も彼らの目をくらまし、何とか寺院に行こうと試みましたが、必ず彼らは私に気づき、あらゆる寺院の儀礼を私に施しました。そこで直ちに、私はそれ以上の試みをすべてあきらめ、寺院へ行くのをまったくやめました。
すべてのことについても同じです。あなたの本当の姿でいるなら、あなたはどこででも恐れなくいることができます。あなたが他者を欺くために衣服を身につけるなら、あなたは誰かがあなたの欺瞞を見破るかもしれないということを毎分ごとに恐れ、そうして、あなたの心があなた自身の敵になり、あなたを悩ませます」とバガヴァーンは言いました。
(*1・原注)パンガナーマム・・・ヴァイシュナヴァイテ(ヴィシュヌ派の人々)の特徴的なカーストの印。
(*2)カルヤーナ・マンダパム・・・婚礼などの家族に関わる行事を行う神殿のようです。
(*3)ドーティ・・・ヒンドゥー教の男性が身につける腰布。
(*4)サンダル・ペースト・・・サンダルウッド(白檀)をのり状にしたもの。
(*5)プラサーダ(ム)・・・神々や聖者に捧げられる食べ物。
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