2012年1月14日土曜日

「シュリー・アルナーチャラへの文字で編まれた婚礼の花輪(Arunachala Aksharamanamalai)」

 ◇『シュリー・ラマナ・マハルシの集成(Collected Works of Sri Ramana Maharshi)』、p65~67、70、一部略
 「シュリー・アルナーチャラへの文字で編まれた婚礼の花輪」は、バガヴァーン・ラマナ・マハルシによって作られた「シュリー・アルナーチャラへの五つの賛歌」の中の一つです。以下の英文は、K.スワミナサン教授の英訳です。また、本文以外の導入の詩節と祈りは、『Collected Works of Sri Ramana Maharshi』に記載されている英訳です。
 賛歌は、信奉者とアルナーチャラをそれぞれ「花嫁」と「花婿」に仮託して、強い信愛の気持ちを表しているため、女性の口調を意識して翻訳しています(文:shiba)
  「アルナーチャラへの五つの賛歌」は、いくつかの短い詩節を除くと、マハルシによる最初期の詩です。これらは1914年ごろに書かれ、それは彼が三十五歳ごろの時期です(彼は1879年12月に生まれました)。彼は、まだ丘の上のヴィルーパークシャ洞窟に住んでいました。

 サードゥであった彼の信奉者の幾人かは、毎日、テイルヴァンナーマライの町へ乞食に行っていました。ある日、彼らは道すがら歌う歌を作ってほしいとマハルシにお願いしました。多くは無視されているが、聖者たちによって作られた卓越した歌がたくさんあるので、新しいものを作る必要はないと彼は返答しました。しかし、彼らは懇願し続け、数日後、彼はペンと紙を持って、山のまわりのプラダクシナに出かけ、その途中で、百八の詩節を作りました。著したときに喜びの涙が顔を流れ落ち、時には彼の目をふさぎ、声を詰まらせました。

 この詩は信奉者の献身をたいへんに鼓舞するものになりました。それは熱烈な象徴的表現で人間と神の間の愛と合一について語っており、あらゆる言語の詩の中でもっとも深淵で感動的なものの一つです。この詩を著した彼は壊れえない合一の至福に打ち立てられていましたが、この詩は信奉者のために書かれており、献身と熱望の態度を表しています。(中略)

 これら全ての賛歌の中で、「アルナーチャラ」という言葉は神を意味しており、それ以下の何物も意味していません。しかしながら、それはまた、神がマハルシとその弟子のために特別に顕現した南インドのアルナーチャラという物理的な山も意味します。古代から、インドの様々な聖なる場所が、様々な道と教義の様式を象徴しており、アルナーチャラはその中でアドヴァイタの教えと自らの探求の道を象徴しています。

 究極的な教えであり、至高かつ最も直接的な道ですが、これが時代を通じて大変に人気のあるものでなかったのは、大部分の人にとってそれがあまりに厳しく、難しいように思えたからです。マハルシは人間のグルなしで、自らの探求の自然な働きを通じて悟りを得ました。ここで、この不思議に簡単に触れる以上のことをする余地はありません。グルが必要であるという点で、他の一切の師とマハルシが同意したということを述べることで十分です。しかしながら、マハルシはグルが必ずしも人間の形をとる必要はないと付け加えています。すでに聖者であった若者のころに彼が家を出た時、アルナーチャラは強力な磁石のように彼を引き付けました。彼はそこへ真っ直ぐに行き、残りの人生をそこで過ごしました。アルナーチャラこそが、彼がグルとみなしたものであり、これらの賛歌はアルナーチャラに、グルに、顕現した神に、絶対者に向けて書かれています。



シュリー・アルナーチャラへの文字で編まれた婚礼の花輪
(シュリー・アルナーチャラ・アクシャラ・マナ・マーライ)


ムルガナールによる導入の詩節

朝日の光線の輝きに似た、この喜びを与える文字で編まれた婚礼の花輪は、慈悲の大海である高貴な聖者ラマナにより、彼の恵みを求めた信奉者の迷妄を取り除く目的で歌われた。それを唯一の寄る辺とみなす人々は、彼らがアルナーチャラであると彼ら自身の内に悟り、シヴァの世界で栄える。

シュリー・バガヴァーンによる祈り

慈悲深いガナパティよ。私がこの文字で編まれた婚礼の花輪を花婿であるシュリー・アルナーチャラにふさわしいものとするために、あなたの(愛情深い)手で私を祝福して下さい。

くり返し

アルナーチャラ・シヴァ!アルナーチャラ・シヴァ!アルナーチャラ・シヴァ!アルナーチャラ!
アルナーチャラ・シヴァ!アルナーチャラ・シヴァ!アルナーチャラ・シヴァ!アルナーチャラ!


本文
1.
(a)あなたは胸の奥(ハート)であなたを思う人々の自我を根絶します。ああ、アルナーチャラ。

(b)あなたは「アルナーチャラは私である」と思う人々の自我を根絶します。ああ、アルナーチャラ。

(a) O Arunachala, you root out the ego of those who think of you at heart.
(b) O Arunachala, you root out the ego of those who think "Arunachala am I"

2.
私とあなたがアラグとスンダラム(*1)のように一つとなり、不可分でありますように!ああ、アルナーチャラ。

O Arunachala, may I and you, like Azhagu and Sundaram become one and be indivisible !

3.
あなたはどうして私の家に入り、私を連れ去ったのですか。そして、今、私をあなたの家であるハートの洞窟の囚人にしているのはどうしてですか。ああ、アルナーチャラ。

O Arunachala, why did you enter my home and carry me away and why do you keep me now a prisoner in your home, the cave of the Heart ?

4.
誰のためにあなたは私を征服したのですか。あなたの楽しみのためですか、それとも私のためですか。今、私を見捨てるなら、世界はあなたを非難するでしょう。ああ、アルナーチャラ。

For whose sake did you conquer me? Was it for your pleasure or my good ? If now you cast me off, the world would blame you, O Arunachala.

5.
この非難を免れなさい。どうして私にあなたを思い出させたのですか。これから先、誰があなたを手放すでしょうか。ああ、アルナーチャラ。

Escape this blame. Why did you make me remember you? Who will let you go hereafter, O Arunachala ?

6.
(a)あなたは自分の母親よりはるかに優しいのです。そして、これがあなたの優しさですか。ああ、アルナーチャラ。

(b)あなたは自分の実の母親よりはるかに優しいのです。あなたの豊饒な恵みはそのようです。ああ、アルナーチャラ。

(a) Kinder far are you than one's own mother. And is this your kindness, O Arunachala ?
(b) Kinder far are you, O Arunachala, than one's own natural mother. Such is your abun dant grace.

7.
(a)私の心にしっかりと留まりなさい。心があなたから逃れ、どこかをさ迷わないように。ああ、アルナーチャラ。

(b)あなた自身を見知らぬ人に変え、私から走り去ることなく、私の心にしっかりと腰を下ろしなさい。ああ、アルナーチャラ。

(c)この私の心があなたでさえも私と世界に変え、現実なるものである、あなたから離れてさ迷わないように、私の心にしっかりと留まり、気をつけていなさい。ああ、アルナーチャラ。

(a) Stay firmly in my mind, O Arunachala, so that it may not elude you and wander else where.
(b) Without changing yourself into a stranger and running away from me, sit firmly in my mind, O Arunachala.
(c) Stay firmly in my mind, O Arunachala, and keep watch, so that this mind of mine may not change even you into me and the world, and wander away from you, the Real.

8.
あなた本来の美しさを表しなさい。その結果、あなたの存在により、移り気な心は通りをうろうろすることを妨げられ、静められます。ああ、アルナーチャラ。

Reveal your true beauty, O Arunachala, so that the fickle mind is prevented from wandering in the streets and is stilled by your Presence.

9.
今や、あなたが私を抱擁せず、私の純潔を壊さないなら、それは男らしさなのですか。ああ、アルナーチャラ。

Is it manliness, O Arunachala, if you fail now to embrace me and destroy my maiden hood ?

10.
見知らぬ人たちがあなたから私を引き離している時、あなたが眠っているふりをすることはふさわしいことですか。ああ、アルナーチャラ。

Is it proper, O Arunachala, that you should pretend to be asleep when strangers are dragging me away from you?

11.
五感という略奪者が私の心に入る時、彼らを追い出すために、あなたは家にいないのですか。ああ、アルナーチャラ。

When those robbers, the five senses, enter my mind, are you not present there at home to keep them out, O Arunachala?

12.
あなたは他を持たない唯一なるもの、唯一のまこと在るものです。誰があなたを隠したり、あなたから隠れ、ここに来ることができますか。見知らぬ人たちが入ってくるのならば、それはあなたの知るところです。この一切は、あなたの奇術でしかありません。ああ、アルナーチャラ。

You are the one without a second, the sole, real being, O Arunachala. Who can hide you or hide from you and come in here? If strangers come in, it is with your knowledge. All this is but your jugglery.

13.
無比なる、勝るものなき、オームの真意。誰があなたを理解できますか。ああ、アルナーチャラ。

Import of AUM, unequalled, unsurpassed, who can understand you, O Arunachala?

14.
(a)善良な母のように、あなたは私に恵みを授け、私を支配する義務に縛られています。ああ、アルナーチャラ。

(b)シヴァが年老いたアヴヴァイに、私の母に、もしくは女神ウマーに慈悲深いように、私にもあなたは慈悲深くあらねばならず、あなたは私も支配すべきです(私はアヴヴァイのようです)。ああ、アルナーチャラ。

(a) Like a good mother, you are bound in duty to bestow your grace on me and govern me, O Arunachala.
(b) As Siva was gracious to old Avvai or to my mother or to Goddess Uma, to me too you are bound to be gracious, O Arunachala, and me too you should govern. (I am like Avvai)

15.
(a)あなたは目の中の目であり、目無くして、あなたは見ます。誰があなたを見れますか。ああ、アルナーチャラ。

(b)あなたは目の中の視力であり、目無くして、あなたは見ます。あなた自身以外の誰があなたを見れますか。ああ、アルナーチャラ。

(c)あなたは全てを見る目撃者であり、全ての光景を見ながら、誰にも見られません。誰があなたを見れますか。私を見て、恵みを与えるのはあなたです。ああ、アルナーチャラ。

(a) Eye of the eye you are and without eyes you see. Who can see you, O Arunachala?
(b) You are the sight within the eye and without eyes you see. Who can see you but your self, O Arunachala?
(c) You are the all-seeing witness, seeing all sights and seen by none. Who can see you? It is for you to see me and give me your grace, O Arunachala.

16.
磁石が鉄を引きつけるように、あなた自身に私を引き寄せなさい。私をしっかりと抱き、私と一つでありなさい。ああ、アルナーチャラ。

As a magnet draws iron, draw me to yourself, O Arunachala: hold me fast, be one with me.

17.
山として顕現している慈悲の大海よ、私を憐れみ、私に恵みを与えなさい。ああ、アルナーチャラ。

Ocean of compassion manifesting as a mountain, have mercy on me, give me your grace, O Arunachala.

18.
全ての下等な、もしくは、高等な生き物の中で輝く、意識の宝石よ、私の心の中の卑しさを破壊しなさい。ああ、アルナーチャラ。

Gem of awareness shining in all creatures low or high, destroy the meanness in my heart, O Arunachala.

19.
私のグルの姿で私の前に立ち、輝く、あなたよ。私の過ちを完全に破壊し、私を癒やし、私を改心させ、あなたの僕(しもべ)として私を支配しなさい。ああ、アルナーチャラ。

O Arunachala, you who stand and shine before me in the form of my guru, destroy utterly my faults, cure me and convert me, and as your servant govern me.

20.
(a)女という剣(鋭いまなざし)から私を救い、あなたの恵みを私に与え、私と一つでありなさい。ああ、アルナーチャラ。

(b)鋭い剣とずるがしこい誘惑を携える、男という冷酷な力から、私を救いなさい。あなたの恵みを与え、私と一つでありなさい。ああ、アルナーチャラ。

(a) Save me from the sword (sharp glances) of women, O Arunachala, give me your grace and be one with me.
(b) Save me from the cruel power of men with sharp swords and cunning snares. O Aruna chala, give me your grace and be one with me.

21.
私がいくら懇願しても、あなたは無慈悲であり、何の憐れみも示しません。さあ、少なくとも「恐れるな」と言いなさい。ああ、アルナーチャラ。

Though I beg and beg, you are cruel and show no mercy. Now at least say 'Fear Not', O Arunachala.

22.
頼まれもせずに贈り物を与える者として、あなたの名声は偉大です。私に慈悲深くありさい。そうして、あなたの評判を落とさないように。ああ、アルナーチャラ。

Great is your fame as a giver of gifts unasked. Be gracious to me, O Arunachala and do not spoil your own good name.

23.
私の手の中の果実を熟しなさい。私にあなた本来の甘美を味わわせ、喜びで夢中にさせてください。ああ、アルナーチャラ。

Ripe fruit in my hand, O Arunachala, let me drink in your true sweetness and be mad with joy.

24.
あなたはあなたの信奉者の中の自我の死を誓う旗を掲げました。それならば、あなたと結ばれた後、どうして私が生き残れますか。ああ、アルナーチャラ。

You have raised the flag vowing the death of the ego in your devotees. How then can I survive after wedding you, O Arunachala.

25.
(a)ああ、怒りにかき乱されないアルナーチャラ、あなたが私、すなわち、私の自我を標的にしないなんて、どのような過ちを私は犯したのですか。

(b)ああ、怒りにかき乱されないアルナーチャラ、あなたが私を標的にするなんて(あなたが私の自我を破壊するなんて)、どんな苦行を私は行ったのですか。

(a) O Arunachala, unruffled by anger, what fault have I committed that you do not make me, that is, my ego, your target?
(b) O Arunachala, unruffled by anger, what penance did I perform that you should make me your target (that you should have destroyed my ego)?

26.
ガウタマ(*2)によって称賛される慈悲の偉大な山よ。恵み深く私に目を向け、私を支配しなさい。ああ、アルナーチャラ。

Great mountain of compassion praised by Gautama, glance on me with grace and govern me, O Arunachala.

27.
その輝く光線が全世界を包む太陽よ。私のハートの蓮華を花咲かせなさい。ああ、アルナーチャラ。

Sun whose bright rays envelop the whole world, O Arunchala, make my heart-lotus blo ssom.

28.
(a)あなたの餌食である私に身を委ねさせ、あなたに食べ尽くさせ、安らぎを味わわせて下さい。ああ、アルナーチャラ。

(b)あなたを食べるために私は来ましたが、私はあなたの食べ物となり、今や安らかです。ああ、アルナーチャラ。

(a) Let me, your prey, surrender and be consumed by you O Arunachala, and so have peace.
(b) To feed on you I came, O Arunachala, but I have become your food and am now at peace.

29.
涼やかな指でするように、あなたの光により私の心に触れ、内なる神酒の口を開けなさい。ああ、恵みの月であるアルナーチャラよ。

Arunachala, O moon of grace, with your rays as with cool fingers, touch my heart and open the nectar mouth within.

30.
(a)この衣服をはぎとり、私を裸にしなさい。そして、あなたの愛情深い恵みを私に着せなさい。ああ、アルナーチャラ。

(b)私の(誤った)偉大さを破壊し、私を裸にしなさい。そして、あなたの恵みという真の偉大さを私に与えなさい。ああ、アルナーチャラ。

(a) Remove this cloth, expose me naked and then clothe me with your loving grace, O Arunachala.
(b) Destroy my (false) greatness, lay me bare, and give me the real greatness of your grace, O Arunachala.

31.
喜びの海が押し寄せるため、言葉と感情が退くため、そこに(ハートに)休らいなさい。ああ、アルナーチャラ。

For the sea of joy to surge, for speech and feeling to subside, rest, O Arunachala, there (in the heart).

32.
私を欺き、試し、量ることをやめ、これからは代わりに、あなたの光の姿を私に現わしなさい。ああ、アルナーチャラ。

Stop deceiving me, testing and proving me, O Arunachala and henceforward reveal to me instead, your form of light.

33.
私がこの惑わす世俗の知識を放棄するため、真の姿を与える知(もしくは、あなた本来の姿についての知)を私に現わしなさい。ああ、アルナーチャラ。

Reveal to me true formative knowledge (or knowledge of your true form) - so that I may give up this delusive worldly knowledge, O Arunachala.

34.
あなたが私と一緒にならないなら、この体は涙の川に溶けて消え、私は死ぬでしょう。ああ、アルナーチャラ。

Unless you join me, O Arunachala, this body will melt away in a river of tears and I shall die.

35.
あなたが「なんともまあ」と言い、私をはねつけるのなら、私の過去の行いが私を苦しめるでしょう。私にとって人生の望みがどこにありますか。ああ、アルナーチャラ。

If you say ‘Fie’ and scorn me, O Arunachala, my past deeds will torture me and where is the hope of life for me?

36.
言葉にならない沈黙の中で、あなたは沈黙に留まるように私に告げました。そして、あなたは動かず、静かに留まっています。ああ、アルナーチャラ。

In wordless silence you told me to abide in silence. And you abide still and quiet, O Arunachala.

37.
(a)至福‐実在を楽しみながら、静けさの中であなたがまどろんでいるなら、私が他に何の頼りを持っているのか私に告げなさい。ああ、アルナーチャラ。

(b)在ることの至福を楽しみながら、静けさの中で私がまどろんでいるなら、他に何のモークシャがあるのか私に告げなさい。ああ、アルナーチャラ。

(a) If you slumber in quiet repose enjoying the bliss-being, O Arunachala, tell me what other recourse I have.
(b) If I slumber in quiet repose enjoying the bliss of being, what other moksha is there, tell me, O Arunachala.

38.
(a)あなたは優れた力を示しました。そして、あなたは、「欠陥はなくなった」と言って、動かずにいます。ああ、アルナーチャラ。

(b)太陽のような輝きをあなたは現わし、私の幻想を破壊し、今やあなたは(山として)不活発で動かずにいます。ああ、アルナーチャラ。

(a) You showed your prowess. Then you said, “The flaw is gone” and you remain unmoving, O Arunachala.
(b) Your sunlike splendour you revealed and having destroyed my illusion, now you remain inactive and unmoving (as a mountain), O Arunachala.

39.
(a)私は犬よりも悪いのです。どんな力によって私はあなたを追い、たどり着けますか。ああ、アルナーチャラ。

(b)私は犬よりも悪いのですか。もちろん違います。私自身の力により、あなたを追い、たどり着くでしょう。ああ、アルナーチャラ。

(a) I am worse than a dog. With what strength can I trace you and reach you, O Aruna chala?
(b) Am I worse than a dog? Certainly not. By my own strength I shall trace you and reach you, O Arunachala.

40.
何の知識もなく、あなたへの盲目的な願望だけで、私は探求を始め、疲れています。この疲労を終わらせるため、探求を続けるための明瞭な知識を私に与えなさい。ああ、アルナーチャラ。

With no knowledge and with only blind desire for you, I have begun the quest and am tired. To end this weariness, give me the clear knowledge to carry on the quest, O Arunachala.

41.
(a)あなたでさえも無力な蜂のように、「つぼみはまだ開いていないのか」と言いながら、私の前に立っているのはいったいどうしてですか。ああ、アルナーチャラ。

(b)太陽そのものであるあなたが、どうして哀れな蜂のように、「つぼみはまだ開いていないのか」と言いながら、私の前に立てるのですか。ああ、アルナーチャラ。

(a) How is it that even you, O Arunachala, should like a helpless bee stand in front of me saying, "The bud is not yet open?"
(b) How could you, O Arunachala, the Sun itself, stand in front of me saying, like the poor bee, "The bud is not yet open?"

42.
(a)マハーヴァーキャー(が汝なり)を知ることなく、あなたは神を得て、シヴァ、それそのものなりました。私に明らかにし、「これが真理である」と断固として言いなさい。ああ、アルナーチャラ。

(b)あなたは一切のタットヴァ、一切の哲学の知識を超えています。あなたはこれのみ、超越的であると同時に内在する真理です。あなたは私のアルナーチャラです。

(a) Without knowing the Mahavakya (That thou art), you attained God, became Siva, That itself. Make clear to me and say emphatically, O Arunachala, that this is the Truth.
(b) You are beyond the knowledge of all tattvas, all philosophies. You are only this, the Truth at once transcendent and immanent, you are my Arunachala.

43.
(a)あなた自身によって自然に現わしなさい、それぞれの人が彼自身、現実の自らであると。ああ、アルナーチャラ。

(b)あなたは唯一の現実です。あなた自身をそのように現わしなさい。ああ、アルナーチャラ。

(c)「現実とは自らに他ならない」。これが現わすべきあなたの願い全てです、そうではありませんか。ああ、アルナーチャラ。

(a) Reveal naturally by yourself, O Arunachala, that each one is himself, the real Self.
(b) You are the sole Reality, O Arunachala. Reveal yourself as such.
(c) "Reality is nothing but the Self". This is all your wish to reveal, is it not, O Arunachala?

44.
(a)いったいどのようにしてあなたは私に、「振り返って、内を見よ。内なる目で自らを常に探求せよ。そうすれば、あなたはそれを見る」と告げたのですか。ああ、アルナーチャラ。

(b)「(内に)向き、内に向けられた心であなた自身を途切れなく見よ。そうすれば、それが現される」。そのように、あなたは私に告げました。ああ、アルナーチャラ。

(a) How is it, O Arunachala, you told me; “Turn and look within and ever seek the Self with the inner eye and you will see It”?
(b) “Turn (within) and uninterruptedly see yourself with an introverted mind and It will be revealed”. Thus you told me, Oh, my Arunachala.

45.
(a)私の探求は意気地のないものでしたが、あなたの恵みによって自らを得ました。ああ、アルナーチャラ。

(b)弱い心であなたを探し、私は空手で帰りました。私を助けなさい。ああ、アルナーチャラ。

(c)無限の自らの中のあなたを探し、私は自分自身を取り戻しました。ああ、アルナーチャラ。

(a) Faint-hearted though my search was, I have, by your grace, attained the Self, O Arunachala.
(b) Seeking you with my weak mind, I have come back empty-handed. Aid me, O Arunachala.
(c) Seeking you in the infinite Self, I regained my own self, O Arunachala.

46.
(a)自らの探求の力なくして、この生が何の役に立ちますか。この虚無感を埋めにきなさい。ああ、アルナーチャラ。

(b)この生が何の役に立ちますか。あなたに助けられなければ、私は道を探せません。ああ、アルナーチャラ。

(c)自らの探求のための知性なくして、この生は何の役に立ちますか。口を開いて、どの生き物であれ自分と比べるための何の権利を私が持っていますか。ああ、アルナーチャラ。

(a) Of what use is this birth without the power of self-enquiry? Come and fill this void, O Arunachala.
(b) Of what use is this birth? I won't search for a way unaided by you, O Arunachala.
(c) Of what use is this birth without the Intelligence for self-enquiry? What right have I to open my mouth and compare myself with any creature, O Arunachala?

47.
(a)あなたの恵みによって、純粋で心から自由な者のみが溶け込む、あなたの真に在るものに私を溶け込ませて下さい。ああ、私の主、アルナーチャラ。

(b)純粋な心と言葉の人々のみが溶け込む、あなたの真の体に私を、私でさえも溶け込ませて下さい。ああ、私の主、アルナーチャラ。

(a) O my lord Arunachala, let me by your grace merge in your true being where only the pure and mind-free merge.
(b) O my lord Arunachala, let me, even me, merge in your true body, where only those of pure mind and speech merge.

48.
私の唯一の神のもとへ行くように、あなたのもとへ私はやって来ました。そして、私をあなたは完全に破壊しました。ああ、アルナーチャラ。

To you as to my only God I came, O Arunachala and me you have totally destroyed.

49.
(a)探さずして私のもとへ来る慈悲深い富、神聖な恵みよ。私の心の困惑を追い払いなさい。ああ、アルナーチャラ。

(b)探さずして私のもとへ来る慈悲深い富、神聖な恵みよ。私の心の失望を終わらせなさい。ああ、アルナーチャラ。

(a) Wealth benignant, holy grace that came to me unsought, dispel my mind's bewilderment, O Arunachala.
(b) Wealth benignant, holy grace that came to me unsought, end my mind's despondency, O Arunachla.

50.
大胆にも真実のあなた自身を探し求め、私は難破した船になり(困惑し)、破滅しています。私に慈悲を持ちなさい。ああ、アルナーチャラ。

Boldly seeking your true self, I am ship-wrecked(bewildered), ruined. Have mercy on me, O Arunachala.

51.
あなたが私にあなたの恵みの手で触れ、私を抱擁しないなら、私は道に迷っています。ああ、アルナーチャラ。

Unless you touch me with your hand of grace and embrace me, I am lost, O Arunachala.

52.
あなたには欠点が完全にありません。永遠の喜びのみが住まうため、ハートで私と一つになりなさい。ああ、アルナーチャラ。

O Arunachala, You are wholly free from fault, be one with me at heart so that eternal joy alone abides.

53.
(a)あなたを探す私を笑わないように。私をあなたの恵みで飾り、それから私を見なさい。ああ、アルナーチャラ。

(b)嘲りでなく、恵みをもって私に微笑みなさい。私はあなたのもとへ庇護を求めて来たのだから。ああ、アルナーチャラ。

(a) Don't laugh at me, who seek you. Decorate me with your grace and then look at me, O Arunachala.
(b) Smile on me, with grace and not with scorn, for I have come to you for shelter, O Arunachala.

54.
(a)私があなたと一つになるため、あなたに近づいた時、あなたは恥ずかしがることなく、柱のように動かず立っていました。ああ、アルナーチャラ。

(b)私と一つになる時、まさに私自身として、あなたは恥ずかしがらず、冷静でした。ああ、アルナーチャラ。

(a) When I approached you to become one with you, O Arunachala, you were not asham ed but stood unmoving like a pillar.
(b) You felt no shyness, you stood unmoved, at one with me, as myself indeed, O Arunachala.

55.
あなたの(ジニャーナの)炎が私を灰に帰す前に、あなたの恵みの雨を私に注ぎなさい。ああ、アルナーチャラ。

Before your fire (of jnana) burns me to ashes, pour down on me your rain of grace, O Arunachala.

56.
(a)あなたか、私がなくなるまで私を抱擁し、ただ一つの永遠の至福である境地を私に与えなさい。ああ、アルナーチャラ。

(b)私がなくなるまで私を抱擁し、ただ一つの永遠の至福として留まりなさい。ああ、アルナーチャラ。

(a) Embracing me till there is no you or I, give me the state of being one eternal bliss, O Arunachala.
(b) Embracing me till there is no I, abide as one eternal bliss, O Arunachala.

57.
(a)いつ私はあなた、微細で妙なる存在であるアルナーチャラに到達し、(私の心の中の)思いの波が止むのですか。

(b)いつ(私の心の中の)思いの波が止み、私はあなた、微細で妙なる存在であるアルナーチャラに到達するのですか。

(a) When will I reach you Arunachala, subtle, ethereal being, so that the waves of thought (in my mind) may end?
(b) When will the waves of thought (in my mind) end, so that I may reach you Arunachala, subtle, ethereal being?

58.
(a)私は書を学んだことのないただの人です。私の幻想を破壊しなさい。ああ、アルナーチャラ。

(b)私は聖典の知識がないただの人です。私の間違った理解を破壊しなさい。ああ、アルナーチャラ。

(a) I am a simple fellow with no book learning. Destroy my illusion, O Arunachala.
(b) I am a simple fellow with no knowledge of the scriptures. Destroy my wrong under standing, O Arunachala.

59.
私が溶けて消え、あなた、私の拠り所に溶け込む時、あなたはそこに裸で(覆われることなく)いました。ああ、アルナーチャラ。

When I melted away and merged in you, my refuge, you stood there naked, O Aruna chala.

60.
あなたは私の愛のない心の中に、あなたへの愛を植え付けました。今や私を裏切らないように。ああ、アルナーチャラ。

In my loveless heart you planted love of you, O Arunachala. Now do not betray me.

61.
(a)熟しすぎ、腐った果実には価値がありません。ちょうど熟した時に、それを食べ、楽しみなさい。ああ、アルナーチャラ。

(b)今や私は熟しすぎても、腐ってもなく、ちょうど良いのです。私をハートに引き寄せ、至高の境地に住まわせなさい。ああ、アルナーチャラ。

(a) Fruit over-ripe and rotten is worthless. Eat and enjoy it when just ripe. O Arunachala.
(b) Now I am fit, not over-ripe and rotten. Draw me now into the heart and install me in the state supreme, O Arunachala.

62.
(a)苦もなく、あなたは自分自身を私と引き換えに売り払いました。あなたは私にとって死です。ああ、アルナーチャラ。

(b)何の痛みも経験することなく、私の側の努力もなく、あなたは私と引き換えにあなた自身を売り払いました(すべてを与え、何も取ることなく)。あなたは盲目です。私と比べて盲目ではありませんか。ああ、アルナーチャラ。

(a) Painlessly, you have bartered yourself for me. You have been death to me, O Aruna chala.
(b) Without my undergoing any pain, without an effort on my part, you have bartered yourself for me(giving all and taking nothing). You are blind, are you not, compared to me, O Arunachala?

63.
私を見なさい!私を思いなさい!私に触れなさい!私をふさわしくし、成熟させなさい!そして、私の師となり、私を支配しなさい。ああ、アルナーチャラ。

Look at me! Think of me! Touch me! Make me fit, ripen me! Then be my master, govern me, O Arunachala.

64.
マーヤーなる蛇の毒が私の頭まで上り、私を殺す前に、あなたの恵み、不死という神酒を私に授け、私を救いなさい。ああ、アルナーチャラ。

Before the venom of the serpent called Maya mounts to my head and kills me, grant me your grace, the nectar of immortality and save me, O Arunachala.

65.
恵み深く私を見て、私の幻想を追い払いなさい。あなたがそうしないなら、いったい誰があなたに懇願しますか。ああ、アルナーチャラ。

Regard me graciously and dispel my illusion, If you don't, who in the world will plead with you, O Arunachala?

66.
あなたはこの世への熱狂を私に放棄させ、あなたへ夢中にさせました。さあ、あらゆる種類の熱中を治す薬を私に与えなさい。ああ、アルナーチャラ。

You made me give up craze for the world and made me crazy for you, O Arunachala. Now give me a medicine to cure every kind of madness.

67.
(a)あなたは恐怖なくいます。そして、私は恐れず、恐怖のないあなたを探します。では、どうして私を抱擁するのを恐れるのですか。ああ、アルナーチャラ。

(b)あなたは恐怖なくいます。そして、私は恐れながら、恐怖なくいる、あなたを探します。ああ、アルナーチャラ。

(a) You are fearless. And I unafraid seek you who are fearless. Why then are you afraid to embrace me, O Arunachala.
(b) You are fearless, And I being afraid seek you who are fearless, O Arunachala?

68.
(a)私に間違った知識とは何か教えなさい。私に正しい知識とは何か教えなさい。後者を得るために、あなたの恵みを私に授けなさい。ああ、アルナーチャラ。

(b)あなたが恵み深く、私を抱擁するならば、どこに無知があり、どこに知恵があるのか私に教えなさい。ああ、アルナーチャラ。

(a) Tell me what is wrong knowledge. Tell me what is right knowledge. Grant me your grace to get the latter, O Arunachala.
(b) Where is ignorance and where is wisdom, tell me, if you graciously embrace me, O Arunachala.

69.
(a)私の心は、今や花のように香っています。あなたの完全なる香りをそれに加え、それを無限にしなさい。ああ、アルナーチャラ。

(b)私の心は、今や世俗の匂いがします。それが無限で香るように、私をめとりなさい。ああ、アルナーチャラ。

(a) My mind is now fragrant like a blossom. Add your perfect fragrance to it and make it infinite, O Arunachala.
(b) My mind now smells of the world. Wed me, O Arunachala, so that it may be fragrant with infinitude.

70.
あなたの名前を思い浮かべるとすぐに、あなたは私を捕まえ、あなた自身に引き寄せました。あなたの恵みの偉大さを誰が知ることができますか。ああ、アルナーチャラ。

The moment I thought of your name, you caught and drew me to yourself. Who can know the greatness of your grace, O Arunachala?

71.
私のアルナーチャラよ、私があなたを決して振り落とせないように、あなたは世俗性なる悪霊を私の中から追い払い、私を所有し、私をこの世に無関心にしました。

My Arunachala, you have driven out of me the evil spirit of worldliness and possessed me so that I can never shake you off, and have made me indifferent to the world.

72.
支えられていない柔らかい蔦のように、私をうなだれ、しおれさせないでください。私の力強い支えとなり、私を支え、守りなさい。ああ、アルナーチャラ。

Let me not like an unsupported tender creeper droop and fade. Be a strong staff for me, hold me up and guard me, O Arunachala.

73.
何かの魔法の粉によって、あなたは私を麻痺させ、私からジーヴァとしての性質を奪い、代わりにあなたのシヴァとしての性質を現わしました。ああ、アルナーチャラ。

With some magic powder, you stupefied me, robbed me of my jiva-hood and revealed instead your Siva-hood, O Arunachala.

74.
去ることも来ることもない、純粋に在るものという広大な開かれた場所で、あなたの恵みと格闘する喜びを私に現わしなさい。ああ、アルナーチャラ。

In the wide open space of pure being, where there is no going and no coming, reveal to me the joy of wrestling with your Grace, O Arunachala.

75.
肉体への愛着を終わらせ、あなたの存在の輝きを私に見せ、私を永遠にその輝きであらせて下さい。ああ、アルナーチャラ。

Let attachment to the physical body end, O Arunachala, and let me see and be for ever the splendour of your being.

76.
(a)あなたが私の混乱の治療を施したので、どうして私がいまだに混乱したままでいれますか。恵みからなる山の薬として、あなたは輝いているのではありませんか。ああ、アルナーチャラ。

(b)その恵みがあらゆる病を治せるサンジーヴィ(不死の)山として輝くあなたよ。混乱の治療を私に施すことをどうして恐れるのですか。ああ、アルナーチャラ。

(a) You having applied the remedy for my confusion, how can I still remain confused? You shine do you not, as the mountain medicine made up of grace, O Arunachala?

(b) You whose grace shines as Sanjivi mountain able to cure all maladies, why are you afraid of applying to me the remedy for confusion, O Arunachala?

77.
愛着を持ち、あなたに近づく人々を受け入れ、彼らの個人性を破壊し、誤った愛着と個人との同一化なく、輝きなさい。ああ、アルナーチャラ。

Accepting those who approach you with attachment, destroy their individuality and then shine free from wrong attachment and identity with individuals; O Arunachala.

78.
(a)私は不幸に打ちのめされた時にのみ、助けを求めて祈る愚か者です。それでも、私を見捨てないように。ああ、アルナーチャラ。

(b)私は自分より劣った者をいじめ、自分より優れた者の前ではおじけずく、愚か者であり、臆病者です。しかし、それを理由に私をいっそう弱く、いっそう混乱させないように。ああ、アルナーチャラ。

(a) I am a fool who prays for help only when overwhelmed by misery. Yet do not abandon me, O Arunachala.
(b) I am a fool and coward who bullies my inferiors and quails before my superiors. But do not on that account make me weaker and more confused, O Arunachala.

79.
舵手のいない舟のように、嵐の中で私がもがくことがないようにして下さい。あなたの恵みで私を守りなさい。ああ、アルナーチャラ。

Let me not like a ship without a helmsman flounder in the storm. Guard me with your grace, O Arunachala.

80.
あなたは始まりも終わりも示さない結び目を解きました。今や、あなたは母のように仕事を完成すべきではありませんか。ああ、アルナーチャラ。

You have undone the knot which shows no beginning and no end. And now should you not like a mother complete the task, O Arunachala?

81.
鼻のない人の前で握られた鏡とならないように。私を持ちあげ、抱擁しなさい。ああ、アルナーチャラ。

Don't be a mirror held in front of a noseless man. Lift me up and embrace me, O Aruna chala.

82.
体の内なる部屋の中で、心という花のように柔らかいベッドの上で、ただ一つの真に在るものに私たちを溶け込ませて下さい。ああ、アルナーチャラ。

In the body's inner chamber, on the flower-soft bed of mind, let us merge in one true being, O Arunachala.

83.
貧しく、謙虚な者たちと結ばれれば結ばれるほど、あなたがより一層、高貴で、有名になるのはいったいどうしてですか。ああ、アルナーチャラ。

How is it that by more and more of union with the poor and humble, you have become more and more noble and famous, O Arunachala?

84.
私の無知という暗い盲目を取り除き、恵みという洗眼薬によって、あなたは私をまったくあなたのものにしました。ああ、アルナーチャラ。

Removing the dark blindness of my ignorance, you have with the collyrium of your grace made me truly yours, O Arunachala.

85.
あなたは私の頭をきれいにそり、今やハートの広大な虚空で喜びにあふれた踊りを踊っています。ああ、アルナーチャラ。

How wonderful it is that you have shaved my head clean,O Arunachala, and are now dancing a joyous dance in the heart's vast empty space.

86.
(a)私の世界への熱狂を破壊し、私をあなたに夢中にさせ、終には、あらゆる熱狂を完全に取り除きなさい。ああ、アルナーチャラ。

(b)あなたは私の世界への欲望を癒やし、あなたへの堅固な欲望を私に与えました。しかし、あなたはあなた自身を私に与えることによって、あなたへのこの強い欲望を満足させていません。ああ、アルナーチャラ。

(a) Destroy my craze for the world, make me crazy for you and then finally remove all madness once for all, O Arunachala.
(b) You have cured me of my desire for the world and you have given me a firm desire for you. And yet you do not satisfy this strong desire for you by giving yourself to me, O Arunachala.

87.
花開くことなく、石のように沈黙して立つこと-これが真のモウナですか。ああ、アルナーチャラ。

Standing silent like a stone, unblossoming, is this true mouna, O Arunachala?

88.
いったい誰が私の口の中に泥を押し込み、私の生計の手段を奪ったのですか。ああ、アルナーチャラ。

Who was it that thrust mud into my mouth and deprived me of my livelihood, O Aruna chala?

89.
いったい誰が誰にも知られることなく、私を麻痺させ、私から意識を奪ったのですか。ああ、アルナーチャラ。

Who was it that, unknown to all, stupefied me and robbed me of my senses, O Arunachala?

90.
あなたがラマナ(*3)であるから、私はこの全てを言ったのです。気を悪くしないように。かわりに、私のもとへやって来て、私を幸せにしなさい。ああ、アルナーチャラ。

You being Ramana I said all this; do not be offended. Instead come to me and make me happy, O Arunachala.

91.
昼も夜も存在しない、開かれた場所という家(自由)の中で、さあ、私たちを楽しませて下さい。ああ、アルナーチャラ。

In the house (in the freedom) of open space; where there is neither night nor day, come let us enjoy ourselves, O Arunachala.

92.
あなたは私を目指し、恵みの矢を放ち、今や私を生きたままむさぼり食べています。ああ、アルナーチャラ。

You aimed at me and sped the arrow of your grace and now you are devouring me alive, O Arunachala.

93.
あなたは全世界が得ようと欲する最終的な目的です。私は今世でも来世でも、価値がなく取るに足りない者です。そして、無限なるものである、あなたは、無価値な私を得ることで何を得たのですか。ああ、アルナーチャラ。

You are the final goal the whole world wants to gain. I am nothing and nobody in this world or the next. And what did you, the infinite, gain by gaining me, the zero, O Arunachala?

94.
あなたはあなたのもとへ来るよう私に頼んだのではないのですか。承知して私は来ました。今や、あなたは私を養う重荷を引き受けに来ました。そのように苦しみ続けなさい。私の面倒をみることは、あなたの運命です。ああ、アルナーチャラ。

You asked me, did you not, to come to you? Very well, I have come. Now you come and assume the burden of maintaining me. Go on suffering thus. It is your fate to look after me, O Arunachala.

95.
ハートに私を呼び寄せ、あなたの命を私に与えた瞬間、その瞬間に私は私の古い命を失いました。ああ、アルナーチャラ。

The moment you summoned me to the heart and gave me your life to live, that moment I lost my old life, O Arunachala.

96.
私が死の間際にあなたを行かせる(忘れる)ならば、恐ろしいことです。私があなたを捨て去ることなく、私の命を捨て去るように私を祝福しなさい。ああ、アルナーチャラ。

It would be terrible if I let you go (if I forget you) at the moment of death. Bless me, so that I may give up my life without giving you up, O Arunachala.

97.
私の家からあなたは私を誘い出し、私のハートの部屋へ入りました。そして、少しずつ、あなたの家の多くの館、あなたの無限の自由を現わしました。ああ、アルナーチャラ。

Out of my house you enticed me, into the chamber of my heart you entered, and then little by little, you revealed the many mansions of your house, your infinite freedom, O Arunachala.

98.
私はあなたの秘密の行いを明らかにしました。腹をたてないで、堂々とあなたの恵みを表わし、私を救いなさい。ああ、アルナーチャラ。

I have betrayed your secret doings. Do not be offended, but openly reveal your grace and save me, O Arunachala.

99.
純粋な意識としてヴェーダーンタの中で輝く、ヴェーダの真髄を私に与えなさい。ああ、アルナーチャラ。

Give me the essence of the Vedas which shines in the Vedanta as pure awareness, O Arunachala.

100.
(a)私の粗暴な言葉を祝福の言葉として受け取り、私の悪口を賞賛として扱いなさい。私をあなたの最上の恩寵の臣下として受け入れ、私をあなたのものとして置き留め、決して私を見捨てないように。ああ、アルナーチャラ。

(b)私の粗暴な言葉を祝福の言葉として受け取りなさい。祝福のしるしとして、あなたの手を私の頭に置きなさい。私をあなたの臣下とし、傍らに置きなさい。私を見捨てないように。ああ、アルナーチャラ。

(a) Take my words of abuse as words of blessing, treat my slander as praise, accept me as a subject of your sovereign grace, keep me as your own and never forsake me, O Arunachala.
(b) Take my words of abuse as words of blessing.Place your hand on my head as a sign of blessing. Make and keep me as your subject. Do not abandon me, O Arunachala.

101.
(a)水の中の雪が溶けるように、まったき愛であるあなたの中に愛として私を溶かして下さい。ああ、アルナーチャラ。

(b)水の中の雪のように、まったき愛であるあなたの中へどうぞ私を溶かしてください。ああ、アルナーチャラ。

(a) As snow in water melts, let me dissolve as love in you who is all love, O Arunachala.
(b) As snow in water kindly dissolve me in you, who is all love, O Arunachala.

102.
あなたをアルナーチャラとして思い浮かべた瞬間に、あなたは私をあなたの恩寵なる罠に捕らえました。いったいあなたの恩寵の網は、その獲物を捕え、留め損ないうるのですか。ああ、アルナーチャラ。

The moment I thought of you as Arunachala, you caught me in the noose of grace. Can the net of your grace ever fail to catch and hold its prey, O Arunachala?

103.
(a)あなたを思い浮かべ、あなたの恩寵の網に捕らえられたとたんに、あなたは蜘蛛のように私をしっかりつかみ、私を食べ尽くしました。ああ、アルナーチャラ。

(b)私を罠にかけようとして、あなたは蜘蛛のようにあなたの恩寵の網を広げ、私を閉じ込め、私をむさぼり食べました。ああ、アルナーチャラ。

(a) As I thought of you and so got caught in the web of your grace, you like a spider held me tight and consumed me, O Arunachala.
(b) Intending to trap me, you like a spider spread your web of grace, you imprisoned me and devoured me, O Arunachala.

104.
あなたの名を愛を抱き聞く、その信奉者たちの中の信奉者たちの愛情深い僕(しもべ)に私をならせて下さい。ああ、アルナーチャラ。

Let me be a loving servant of the devotees of those devotees who hear your Name with love, O Arunachala.

105.
私のように貧しく無力な人々の愛情深い救い主として、あなたが永遠に生き続けますように。ああ、アルナーチャラ。

May you live for ever, as the loving saviour of poor, helpless people like me, O Aruna chala !

106.
あなたの耳はかつて、まさにその骨まであなたへの愛のうちに溶けた者たちの甘美な歌を聞きました。私のこの貧しい言葉さえも、今や、その耳に受け入れて下さい。ああ、アルナーチャラ。

Your ears once heard the sweet songs of those whose very bones melted in love of you. Let them now accept even these poor words of mine, O Arunachala.

107.
忍耐からなる山よ、どうぞ私の貧しい言葉を我慢づよく聞き、受け入れてください。あなたの望むままに行いなさい。ああ、アルナーチャラ。

Mountain made up of patience, bear with my poor words, accept them, if you please. Do as you will, O Arunachala.

108.
私の愛情深い主、アルナーチャラよ。あなたの花輪を私の肩にかけ、この私の花輪をあなたの肩にかけなさい。ああ、アルナーチャラ。

Arunachala, my loving lord, place your garland on my shoulders and wear this my garland on your own, O Arunachala.

くり返し

アルナーチャラ・シヴァ!アルナーチャラ・シヴァ!アルナーチャラ・シヴァ!アルナーチャラ!
アルナーチャラ・シヴァ!アルナーチャラ・シヴァ!アルナーチャラ・シヴァ!アルナーチャラ! 


祝福の祈り

アルナーチャラに栄光あれ!
彼の信奉者に栄光あれ!
この文字で編まれた婚礼の花輪に栄光あれ!


(*1)アラグはタミル語で「美」を意味し、スンダラムもサンスクリット語で「美」を意味します。また、アラグとスンダラムはシュリー・ラマナのご両親のお名前でもあります。
(*2)ガウタマ・・・ガウタマ・マハリシ。ヴェーダの時代のサプタリシ(7聖仙)の一人。
(*3)ラマナ・・・愛しい人、愛する人

2012年1月3日火曜日

「四十詩節で表される現実:補遺(Anubandham)」、K.スワミナサン教授英訳

 
◇『シュリー・ラマナ・マハルシの全集(The Collected Works of Sri Ramana Maharshi)』

 英文はK.スワミナサン教授の翻訳です。(※)の詩節はバガヴァーンが作ったものです。

四十詩節で表される現実:補遺

祈り

この全世界の支え目的であるそれ、この全現象(見せかけ)の背後にある現実それは確かに存在する。真理であるそれを我々のハートに住まわせよう。(『ヨーガ・ヴァーシシュタ』, 8, v.12)

That which is the Support, the Soul, the Source, the Purpose and the Power of all this world, the Reality behind all this Appearance, That indeed exists. Let That, the Truth, abide in our Heart. (Yoga Vasishta, 8, v.12)

本文

1.
賢者との交際において、愛着が消え去る。そして、愛着と共に、幻が(消え去る)。幻から解放されて、人は不動を得て、それにより、いまだ命あるうちの解放を得る。それゆえ、賢者との交際を求めよ。(『バジャゴーヴィンダム』 モーハムダガラム賛歌、シャンカラーチャーリヤ著)

In the company of sages, attachment vanishes; and with attachment, illusion. Freed from illusion, one attains stability, and thence liberation while yet alive. Seek therefore the company of sages. (from Bhajagovindam, the “Mohamudagaram Hymn,” by Shankara charya)

2.
説教者の話を聞くことによっても、書籍の学習によっても、称賛に値する行為によっても、他のいかなる手段によっても、人は至高なる境地を得られない。それは、聖者との交際、および、自らの明瞭な探求を通してのみ獲得できる。(『ヨーガ・ヴァーシシュタ』, 5 - 12 - v.17)

Not by listening to preachers, nor by study of books, not by meritorious deeds nor by any other means can one attain that Supreme State, which is attainable only through association with the sages and the clear quest of the Self. (a verse from the Yoga Vasish ta, 5 - 12 - v.17)

3.
人が聖者との交際を好むようになった時、なにゆえ、この全ての修行の規則が(いるのか)。心地よい涼やかな南風が吹いている時、そこでうちわに何の用があるのか。(『ヨーガ・ヴァーシシュタ』からの1詩節)

When one has learned to love the company of sages, wherefore all these rules of discipline? When a pleasant, cool southern breeze is blowing, what need is there for a fan? (a verse from the Yoga Vasishta)

4.
熱は、月の涼やかな光によって克服される。困窮は、善願かなえる木によって。罪は、聖河ガンガーによって。これら三つ-熱、困窮、罪-全ては、比類なき聖者の堂々たる様を見て、逃げ出す。(『スッバーシタ・ラトナ・バンダルガラ』, 3章、v. 6)

Fever is overcome by the cool light of the moon;want, by the good wish-yielding tree; and sin by the Holy Ganges. Those three — fever and want and sin — all flee at the august sight of the peerless sage.(Subhashita Ratna Bhandargara, chapt. 3, v. 6)

5.
聖河は水でしかなく、聖像は石と粘土から作られ、賢者同様、力強くはない。なぜなら、それらは人を数えきれない月日の間に清めるが、賢者の目はただ一瞥のみによって即座に清める。(『シュリーマッド・バーガヴァタム』 48章、v. 31、第10編)

Holy rivers, which are only water, and idols, which are made of stone and clay, are not as mighty as the sages. For while they make one pure in course of countless days, the sage's eyes by a mere glance purify at once. (from Srimad Bhagavatam, chapt. 48, v. 31, tenth canto)

6.
弟子 : 誰が神ですか。
師 : 心を知る者。
弟子 : 私の自ら、聖霊は私の心を知っています。
師 : それゆえ、あなたが神である。そしてまた、スルティ(聖典)は、ただ一人の神、知る者のみあると言明している。
(『エーカスローキ』 シャンカラーチャーリヤ著)

Disciple : Who is God?
Master : He who knows the mind.
D : My Self, the Spirit, knows my mind.
M : Therefore you are God; and also the sruti declares that there is only one God, the Knower.
(from Ekasloki, by Shankaracharya)

7.
師 : 何の光によって、あなたは見るのか。
弟子 : 昼間は太陽、夜間は灯火。
師 : 何の光によって、あなたはそれらの光を見るのか。
弟子 : 目。
師 : 何の光によって、あなたは目を見るのか。
弟子 : 心。
師 : 何の光によって、あなたは心を見るのか。
弟子 : 私の自ら
師 : ならば、あなたは光の中の光である。
弟子 : ええ、それが私です。
(『エーカスローキ』 シャンカラーチャーリヤ著)

M : By what light do you see?
D : The sun by day, the lamp by night.
M : By what light do you see these lights?
D : The eye.
M : By what light do you see the eye?
D : The mind.
M : By what light do you know the mind?
D : My Self.
M : You then are the Light of Lights.
D : Yes, That I am.
(from Ekasloki, by Shankaracharya)

8.
ハートの洞窟の中心に、唯一なるブラフマンが、「私、私」、アートマンとして、ひとり輝いている。自らの探求の中、深く潜ることによって、ハートに到達せよ。もしくは、呼吸によって心を制御することにより、アートマンの内に確固として留まれ。(※)

In the centre of the Heart-Cave there shines alone the one Brahman as the ‘I, I’, the Atman. Reach the Heart by diving deep in quest of the Self, or by controlling the mind with the breath, and stay established in the Atman.

9.
ハートの蓮華の中に、自らの形をした純粋かつ不変の意識がある。自我が取り除かれる時、自らなる、この意識が魂の解放を授ける。(『デヴィカーローッタラム』, v. 46)

In the lotus of the Heart is pure and changeless Consciousness in the form of the Self. When the ego is removed, this Consciousness of Self bestows liberation of soul.(Devikalottaram, v. 46)

10.
土で作った壺のように、体は不活発である。それは「私」の意識を持たないため、そして、毎日、体の無い眠りの中で我々は我々の本質に触れるため、体は「私」でない。では、この「私」は誰なのか。この「私」はどこにいるのか。そのように問う人々のハートの洞窟の中に、「私」として、彼自身、アルナーチャラの主シヴァが、輝き出す。(※)

The body is like an earthen pot, inert. Because it has no consciousness of ‘I’, and because daily in bodiless sleep we touch our real nature, the body is not ‘I’. Then who is this ‘I’? Where is this ‘I’? In the Heart-cave of those that question thus, there shineth forth as ‘I’, Himself, the Lord Siva of Arunachala.

11.
誰が生まれるのか。「私はどこから生まれるのか」尋ねる者のみが、ブラフマン、原初の源に真に生まれる。彼は実に永遠に生まれている。彼は聖者らの主である。彼は常に新たなものである。(シュリー・バガヴァーンのジャヤンティを祝っている時に)(※)

Who is born? It is only he who asks ‘Whence am I born?’ that is truly born in Brahman, the Prime Source. He indeed is born eternally; He is the Lord of saints; He is the ever-new.(On celebrating Sri Bhagavan’s jayanti)

12.
「この卑しむべき肉体は私である」という概念を投げ捨て、自らの絶え間ない至福を求めよ。この滅びゆく肉体を可愛がりながら自らを求めることは、鰐(わに)にしがみつくことによって小川を渡ろうとすることも同然である。(※)

Cast off the notion, ‘This vile flesh am I,’ and seek the ceaseless bliss of Self. To seek the Self while cherishing this perishing flesh is like trying to cross a stream by clinging to a crocodile.

元の詩節の最初の2行はマハルシにより作られ、次の2行は『ヴィヴェーカチューダマニ』のv.84から引用されている。

13.
施し、贖罪、供犠、ダルマ、ヨーガ、バクティの道。天国、現実、安らぎ、真理、恩寵、沈黙、不動、不死なる死、知、放棄、解放、至福なる目的-この全ては、ただ体が自らであると思うことをやめるだけである。(※)

The way of charity, penance, sacrifice, dharma, yoga and bhakti; and the Goal of Heaven, Reality, Peace, Truth, Grace, Silence, Stability, Deathless Death, Knowledge, Renunciation, Liberation, Bliss — all this is only ceasing to think that the body is the Self.

14.
行為、献身、合一、知とは何か。それは、「この行為、無関心、分離、無知は誰のものか」尋ねることである。そのように尋ねる時、自我は消滅する。これらの八つが決して存在したことのない自らとして留まること-これが真の存在である。(※)

What is action, or devotion, or union, or knowledge? It is to inquire, ‘Whose is this action, or indifference, or separateness, or ignorance?’ Inquiring thus, the ego vanishes. To abide as the Self, wherein these eight have never been, this is True existence.

15.
彼ら自身が己のものでない力によって動かされていることを悟らずに、奇跡的な力を求めることに忙しい愚か者たちがいる。彼らの滑稽な態度は、「あなたが私を立ち上がらせるなら、これらの敵は私の前では何のこともない」と友人に言う足腰の立たない人の自慢話のようある。(※)

Not realizing that they themselves are moved by an energy not their own, some fools are busy seeking miraculous powers. Their antics are like the boasting of a cripple who says to his friends: ‘If you raise me to my feet, these enemies are nothing before me.’

16.
心を静めることが真の解放であり、心の働きがなければ奇跡的な力は獲得できないため、そのような力に心を向ける彼らが、心の一切の活動の終焉である解放の至福にどうして入りうるのか。(※)

Since the stilling of the mind is true liberation and miraculous powers are unattainable without an act of the mind, how can they whose mind is set on such powers enter the bliss of liberation which is the ending of all activity of the mind?

17.
神が世界の重荷を支えているのに、見せかけの自我はその重荷を背負いこみ、塔の彫像のように顔をゆがめ、それを支えているように見える。どんなに重いものでも運べる乗り物の中にいる旅行者が、彼の鞄を下に置かず、苦しげに頭の上で支えるならば、その誤りは誰のものなのか。(※)

While God sustains the burden of the world, the spurious ego assumes its burden, grimacing like an image on a tower, seeming to support it. If the traveller in a carriage, which can carry any weight, does not lay his luggage down but carries it painfully on his head, whose is the fault?

18.
両の乳首の間に、胸より下に、腹より上に、様々な色をした六つの器官が存在する。この中で、一つ、ゆりのつぼみのように見えるものがハートであり、中心から右へ指幅二つ離れている。(『アシュタンガ・フリダヤム』、マラヤーラム語)

Between the two paps, below the chest, above the stomach, there are six organs of vario us colours. Of these, one, looking like a lily bud, is the Heart, at two digits’ distance to the right of the centre. (from Ashtanga Hridayam, Malayalam)

19.
その口は閉じられている。その空洞の内に住んでいるのは、あらゆる欲望で満たされた深い暗闇である。重要な神経が全て、そこに集まっている。それは呼吸、心、知の光の住処である。(『アシュタンガ・フリダヤム』、マラヤーラム語)

Its mouth is closed. Within its cavity is seated a heavy darkness, filled with all desires; all the great nerves are centred there; the home it is of breath, mind, light of knowledge. (from Ashtanga Hridayam, Malayalam)

20.
ハートの蓮華の内奥が住処である主は、洞窟の主として褒め称えられている。修練の力によって、「私は自我である」というあなたの現在の認識が体の中に打ち立てられているのと同様に堅固に、「私はであり、私は洞窟の主である」という思いが打ち立てられ、そのように、あなたがその洞窟の主として進み出るなら、朝日の前の暗闇のごとく、あなたが壊れやすい体であるという錯覚は消え去る。(カンナダ語の『プラブーリンガ・リーラ』 v. 45, 46の2詩節中に見出される考えを用い、バガヴァーンよって作られた)

The Lord whose home is the interior of the Heart-Lotus is extolled as Lord of the Cave. If by force of practice the feeling ‘I am He, I am the Lord of the Cave’ becomes firmly established, as firmly as your present notion that you are the ego is established in the body, and thus you stand forth as that Lord of the Cave, the illusion that you are the perishable body will vanish like darkness before the rising sun. (composed by Bhagavan, employing the ideas of two verses found in the Prabhulinga Leela, v. 45, 46, Kannada)

21.
ラーマが、「我々がこれらの物の像を見る偉大な鏡は、どれか。世界のあらゆる存在のハート(中心)と呼ばれているのは、一体何なのか」と尋ねた時、ヴァーシシュタは、「我々が熟慮する時、世界のあらゆる存在は二つの異なるハートを持つことを我々は理解する」と答えた。(『ヨーガ・ヴァーシシュタ』, 5 - 78 - v. 32, 33)

When Rama asked, ‘Which is the great mirror in which we see these images of things? What is it that is called the Heart of all the beings in the world?’ Vasishta answered, ‘When we reflect we see that all the beings in the world have two different hearts.’ (Yoga Vasish ta, 5 - 78 - v. 32, 33)

22.
これらの一方は受け入れるに値し、もう一方は拒絶に値する。それらがどのように異なるのか聞けよ。物質的な体の胸部のどこかに位置するハート(心臓)と呼ばれる器官は、拒絶に値する。純粋な自覚の形であるハートは受け入れるに値する。それは内と外の両方にあり、それは内も外も持たない。(『ヨーガ・ヴァーシシュタ』, 5 - 78 - v. 34, 35)

One of these is worth acceptance, the other worth rejection. Listen how they differ. The organ called the heart placed somewhere in the chest of the physical body is worth rejection. The Heart which is of the form of Pure Awareness is worth acceptance; it is both within and without — it has no inside or out. (Yoga Vasishta, 5 - 78 - v. 34, 35)

23.
それこそが根源的なハートであり、その中に、この全世界が留まっている。その中に全てのものが見られるのは、その鏡である。それが全ての富の源泉である。ゆえに、意識は全存在のハート(中心)と名付けられてよい。ハートは、石ころのように意識なく、壊れやすい肉体の一部ではない。(『ヨーガ・ヴァーシシュタ』, 5 - 78 - 36, 37)

That indeed is the essential Heart and in it all this world abides. It is the mirror in which all things are seen. It is the source of all wealth. Hence Awareness may be termed the Heart of all beings. The Heart is not a part of the perishable body inert like a stone. (Yoga Vasis hta, 5 - 78 - 36, 37)

24.
それゆえ、まったき意識である純粋なハートの中に自我を溶け込ます修練によって、呼吸だけでなく心の傾向も抑制される。(『ヨーガ・ヴァーシシュタ』, 5 - 78 - v. 38)

Therefore by the practice of merging the ego in the pure Heart which is all-Awareness, the tendencies of the mind as well as the breath will be subdued. (Yoga Vasishta, 5 - 78 - v. 38)

25.
「シヴァである、かの純粋な無制限の意識それが私である」と絶えずハートの中で瞑想することによって、自我の一切の愛着を取り除け。(『デヴィカーローッタラム』 v.47)

By constantly meditating in the Heart, ‘That pure unconditioned Awareness that is Siva, That am I,’ remove all attachment of the ego. (Devikalottaram, v. 47)

26.
存在の様々な状態を調べ、心によって至高なる現実の境地を堅固につかみ、おお、英雄よ、世界の中で常にあなたの役割を演じよ。あなたは、あらゆる類の現象のハート(中心)にある真理を知っている。その現実から常に顔を背けることなく、おお、英雄よ、世界の中で演じよ-あたかもそれに恋しているかのように。(『ヨーガ・ヴァーシシュタ』, 5 - 18 - v. 20 から 23)

Having investigated the various states of being, and seizing firmly by the mind that State of Supreme Reality, play your part, O hero, ever in the world. You have known the Truth which is at the Heart of all kinds of appearances. Without ever turning away from that Reality, play in the world, O hero, as if in love with it. (Yoga Vasishta, 5 - 18 - v. 20 to 23)

27.
熱中し、喜ぶように見え、興奮し、嫌悪するように見え、主導し、忍耐するように見え、おお、英雄よ、それでいてしかし、愛着なく、世界の中で演じよ。愛着の一切の絆から解放され、心の落ち着きをもって、あらゆる状況であなたが装う役に応じて表面上は振る舞いながら、おお、英雄よ、世界の中であなたの望むままに演じよ。(『ヨーガ・ヴァーシシュタ』, 5 - 18 - v. 24から26)

Seeming to have enthusiasm and delight, seeming to have excitement and aversion, seeming to exercise initiative and perseverance, and yet without attachment, play, O hero, in the world. Released from all bonds of attachment and with equanimity of mind, acting outwardly in all situations in accordance with the part you have assumed, play as you please, O hero, in the world. (Yoga Vasishta, 5 - 18 - v. 24 to 26)

28.
アートマンの知によって真理に打ち立てられている彼、五感を征服した彼-彼を知の炎、知の雷(いかずち)を行使する者、時の征服者、死を滅ぼした英雄と呼べ。(『ヨーガ・ヴァーシシュタ』からの1詩節)

He who by Knowledge of the Atman is established in the Truth, he who has vanquished the five senses — call him the fire of knowledge, the wielder of the thunderbolt of Knowledge, the Conqueror of Time and the Hero who has slain death. (a verse from the Yoga Vasishta)

29.
地上において春の訪れと共に、木が葉の生き生きとした美しさで輝くのとまさしく同様に、真理を悟った者は名声、知性、力はますます高まり、輝く。(『ヨーガ・ヴァーシシュタ』, 5 - 76 - v. 20)

Just as on the earth with the coming of spring the tree shines in fresh beauty of  foliage, even so he who has seen the Truth will shine with growing lustre, intelligence and power.(Yoga Vasishta, 5 - 76 - v. 20)

30.
思いが遠くにさ迷っている間に話しかけられる人のように、愛着のない心は、それが活動する間、不活発にある。しかし、愛着に浸った心は、活動していなくても活発である。夢の中で山に登り、転がり落ちる、ここに動かずに横たわり、寝むる人のように。(『ヨーガ・ヴァーシシュタ』, 5 - 56 - v. 13, 14)

Like one to whom a tale is told while his thoughts are wandering far away, the mind which is free from attachment is inactive while it acts. But the mind immersed in attachments is active, though it does not act, like the sleeper lying motionless here, who in his dream climbs a hill and tumbles down. (Yoga Vasishta, 5 - 56 - v. 13, 14)

31.
馬車の動き、静止、頸木をはずされた状態が、馬車の中で眠る旅人にとってあるように、行為、瞑想、眠りが、彼の体なる馬車の中で眠る賢者にとってある。(※)

As the movement of the cart, its standing still and its being unyoked are to the passenger asleep in the cart, even so are action, contemplation and sleep to the Sage asleep in the cart of his body.

32.
目覚め、夢、もしくは、眠りを求める人にとって、それらの三つを超える境地、目覚めた眠り、トゥリーヤと呼ばれる第四の境地がある。しかし、このトゥリーヤなる境地のみが現実であり、三つの見せかけの状態は幻であるため、「第四」の境地こそが超越的な境地である。(※)

For one who seeks waking, dreaming or sleep there is a state beyond these three, a wakeful sleep, a fourth state called the turiya. But because this turiya state alone is real and the three apparent states are illusory, the ‘fourth’ state is indeed the transcendental state.

33.
ジニャーニはサンチッタとアーガーミを持たないが、プラーラブダは保持するという言明は、無知な人の質問への形式的な答えでしかない。夫が亡くなる時、数人の妻の内、誰もやもめ暮らしを避けられない。まさにそのように、行為者が去る時、三つのカルマすべてが消滅する。(※)

The statement that the jnani retains prarabdha while free from sanchita and agami is only a formal answer to the questions of the ignorant. Of several wives none escapes widowhood when the husband dies; even so, when the doer goes, all three karmas vanish.

34.
学のない人々には、妻、子供、召使いからなる一つの家族のみある。しかし、たいそう学のある人々の心には、ヨーガへの障害として、書籍、学説、持論なる多くの家族がいる。(『スッバーシタ・ラトナ・バンダーガラ』 プラカラナⅥ、シャンタ・ラサ・ニルデシャ、v. 13)

For unlearned folk there is only one family consisting of wife, children and dependants. But in the mind of those with much learning there are many families of books, theories and opinions as obstacles to yoga. (Subhashita Ratna Bhandagara, Prakarana VI, Shanta Rasa Nirdesha ,v. 13)

35.
「我々はどこから生まれるのか」と問うことによって、運命という文字をぬぐい去ろうとしない学識ある人々にとって、学識が何の役に立つのか。彼らは蓄音機以外の何なのか、ああ、アルナーチャラの主よ。その意味を悟らずに、彼らは言葉を学び、繰り返す。(※)

What is the use of letters to those lettered folk who do not seek to wipe out the letters of fate by inquiring, ‘Whence are we born?’ What else are they but gramaphones, O Lord of Arunachala? They learn and repeat words without realizing their meaning.

36.
学識のない人は、学はあるが穏やかでない人々よりたやすく救われる。学識のない人は高慢なる悪魔の手中を免れている。彼らは渦巻く多くの思いと言葉なる病を免れている。彼らは馬鹿げた富の追求を免れている。彼らは多くの、多くの災難を免れている。(※)

The unlettered are easier saved than those who are learned but unsubdued. The unlettered are free from the clutches of the demon Pride, they are free from the malady of many whirling thoughts and words; they are free from the mad pursuit of wealth; they are free from many, many ills.

37.
ある人が世界をわらの束(無価値なもの)とみなし、あらゆる宗教的知識をその手にしていても、彼が卑しむべき遊女、追従(ついしょう)に屈しているならば、彼が束縛から逃れることは難しい。(『サーダカ・アヴァスタ』 シュリー・サダーシヴァ・ブラメーンドラ著)

Though a man looks on the world as a wisp of straw and holds all sacred lore in his hand, it is hard for him to escape from thralldom if he has yielded to vile Flattery, the harlot. (from Sadhaka Avasta, by Sri Sadasiva Brahmendra)

38.
自分自身を他者から離れていると思うことなく、己の真の境地から逸することなく、人が常に己の自らの内に留まるなら、己と異なる誰が存在するのか。人々が己について言うことが何であるというのか。もし人が自分自身を褒めたり、けなしたりするなら、それが何であるというのか。(※)

Without thinking of oneself as apart from others, without swerving from one’s true state, if one abides always in one’s Self, who is there alien to one? What matters it what people say of one? What matters it if one praises or blames oneself?

39.
アドヴァイタをハートの内にしまえ。それを決して行為に移すなかれ。たとえあなたがそれを三つの世界すべてに当てはめても、おお、子よ、それはグルに当てはめられるべきではない。(『タットヴォーパデーシャ』 v.87、シャンカラーチャーリヤ著)

Keep advaita within the Heart. Do not ever carry it into action. Even if you apply it to all the three worlds, O Son, it is not to be applied to the Guru. (Tattvopadesa, v. 87, by Shankara charya)

40.
ヴェーダーンタなる究極の教えの真髄を偽りなく言明せん。すなわち、自我が死に、それ純粋な意識である自らとなる時、それのみが留まる。(※)

I shall declare truly the essence of the final doctrine of the Vedanta: when the ego dies and becomes That, the Self of Pure Awareness, That alone abides.