シュリー・ナーガンマ著
1946年1月2日
(19) 私の無言の訴えを聞いてくれませんか
あなたはジャガディーシャ・シャーストリ(⇒)に会ったことがありましたよね。彼がここにいたとき、彼と一緒に犬が講堂によく入って来ました。とりわけ賢い犬でした。シャーストリや彼の奥さんがバガヴァーンの講堂にやって来たとき、犬が入ってきて、行儀のよい子供のように座り、彼らと一緒に出て行ったものでした。人々は犬が講堂に入らないようにするためにできることを何でもしましたが、無駄でした。
かつて、その年配の夫婦がマドラスに行ったとき、彼らは犬を誰かに預け、15日間帰ってきませんでした。最初、はじめの四、五日の間、犬は講堂の中を探し、見て回り、その後、彼らがよく訪れていた全ての場所を歩き回りました。疲れて、おそらくはその甲斐のない努力に嫌気がさして、ある朝の10時ごろ、犬はバガヴァーンのソファーにやって来て、バガヴァーンをじっと見つめながら、そこに立っていました。その時、私は最前列に座っていました。バガヴァーンは新聞を読んでいました。クリシュナスワーミーたちは犬を脅して追い出そうとしましたが、無駄でした。私も犬に出ていくようにお願いしました。だめです、犬は動こうとはしませんでした。この騒ぎはバガヴァーンの注意をそらし、彼はそちらを見ました。バガヴァーンは犬と我々の興奮した様子をしばらく観察しました。その後、彼は新聞をわきにやり、あたかも彼の沈黙によって犬の言葉を理解したかのように、犬に向かって手を振り、言いました。「おや、どうかしましたか。あなたの家族がどこに行ったのか尋ねているのですね。ああ、なるほど、分かりました。彼らはマドラスに行っています。一週間後に戻るでしょう。怖がらないでいいですよ。心配いりません。落ち着きなさい。大丈夫ですか。さあ、行きなさい」。
バガヴァーンが説明を終えるが早いか、犬は向きを変え、その場所を離れました。そのすぐ後、バガヴァーンは私に述べました。「あれを見ましたか。犬は家族がどこに行ったのか、いつ帰ってくるのか私に尋ねていました。どれほどここの人々が追い払おうとしようとも、私がその質問に答えるまで動こうとしませんでした」。
かつて、奥さんが何かの理由でムチで犬に罰を与え、部屋に半日閉じ込めたようでした。外に出るのを許された後、彼女に不満を言うかのように、犬はバガヴァーンのもとにまっすぐに来て、アーシュラムに滞在し、四、五日、彼らの家に行きませんでした。バガヴァーンは犬の食事を用意し、女性を次のように叱りました。「あなたは犬に何をしたのですか。一体どうして犬はあなたに怒っているのですか。犬は私に不満を言いにやって来ました。どうしてですか。何をしたのですか」。ついに、彼女はバガヴァーンの面前で自分の非を認め、たいそうなだめすかして、犬に家に帰ってもらいました。