2014年5月4日日曜日

シッダ・ゴーラクナートとジニャーニ・プラブ - 真の不死とは何か

◇「山の道(Mountain Path)」、1971年7月 p149、150

知者と奇術師


T.K.S

 シュリー・バガヴァーンを訪れた人々は、宗教的生活の様々な側面、そして、超常的な魔法のような力(シッディ)の獲得についても彼とよく議論しました。シュリー・バガヴァーンは、非常な努力と苦行の後のみに我々がこの身体的存在を得ているため、我々はみなシッダであるとよく言っていました。この素晴らしい達成の目的は、一切の達成の中で最も偉大なもの-純粋な実存‐知‐至福-を成し遂げることです。しかし、我々が超常的な力を得るためだけに肉体を使うなら、さらなる束縛-鉄の鎖のかわりに黄金の鎖-を身につけるだけとなります。やはり、束縛は束縛です。黄金のそれを取り除くためには、あなたは至高なる束縛の破壊者、すなわち、ニルヴァーナを得た者への奉仕を求めねばなりません。

 知者(ジニャーニ)の見解では、それらの力は夢で得られた力以上に現実的ではありません。もし物乞いがある王国を統治している王様であるという夢を見るなら、その夢が続く限り、彼は王様であるという楽しみと満足を得ますが、目覚めるとすぐに彼は空腹を満たすために物乞いの器を手にとらねばなりません。同様に、それらの力は、内にある性質の存在に関係する限りのみ、満足を与えます。しかし、それが存在していないと見出される時、それらの力が本質的に虚偽であると知ることの激しい衝撃が訪れます。

 この原則を例示するため、シュリー・バガヴァーンは『プラブリンガ・リーラ』の中のゴーラクナートという名の偉大なシッダの物語をよく引用しました。彼は様々な類の非常な努力の後、1000年の間でさえも死なないように彼の肉体を完成させました。彼は体に様々な試験を課し、体はそれに申し分なく耐えました。この達成に得意気になり、彼は全てのヨーギとシッダに彼の体に剣をつき通すように勧めましたが、彼らがそうしようと試みた時、体は切られも、つき通されもしませんでした。寺院の鐘の場合のように、大きなガーンという金属音がそこから発しました!そのシッダは試みの成功に大得意になり、彼の体現した状態がいつの日か終わりを迎えるということは決して頭に浮かびませんでした!

 彼が愚か者の楽園で得意気になり、幸福を感じていた時に、彼は偉大なジニャーニ、アッラーマ・プラブのことを耳にしました。彼の足元に座り、彼の存在の至福を取り入れるために、彼のもとに多くの人々が集まっていました。言うまでもなく、このジニャーニは、実のところ、人類を助けるためのその姿をした主シャンカラ自身の化身でした。

 彼のもとに来たすべての人に、我々の身体的経験の一切が虚偽であり、個人性という存在しない分離性に基づいていると彼は説きました。真の境地は一切存在の中の一つの不可分な全体性であり、それを理解するとすぐに一切の対極性や複数性の感覚は消え去ります。簡潔に言うと、あなたが絶対的現実、ただ一つの比類ない目撃者、ただ一つの存在‐自覚であり、二元性は幻に過ぎないと彼は教えていました。それであることが、実現(悟り)です。

 さて、我々の偉大なシッダは、彼がどのような類の人物か知りたいという無益な好奇心から、そして、できるなら彼に挑戦し、彼の教えを馬鹿にするためにジニャーニの面前に行きました。彼はジニャーニが骨と皮でばかりであるのに気付き、驚きました。彼は尊大に話かけました。「あなたは死の恐怖を克服した偉大なジニャーニであると言われています。しかし、なんとみじめな体にあなたは住んでいるのですか!その体で死を克服できると思いますか。私を見てください!私は体が決して破壊されないように私の体を完全にしたことを確信しています。ここに剣があります。この体でそれを試してみなさい。そうすればあなた自身で私の達成の性質を知ります!」。

 ジニャーニはそのような危険な試みをするのはご免こうむりたいと願いました。しかし、ゴーラクナートがしつこく繰り返した時、彼は剣を手にとり、その体に向けて打ちつけました。いつも通り、金属音がそれから発し、しばらくの間、響きました。謙遜を装い、アッラーマ・プラブは大変に感銘を受けたふりをして言いました。「あなたが得たのは実に偉大な力です。あなたに栄光あれ!しかし、今や私はあなたの体を試すというあなたの願いを叶えたので、あなたは私の体に同じ試みを受けさせたいという私の願いを叶えなければなりません。どうぞその剣を手にとり、それで私を殺して下さい!」。

 シッダはそうすることを恐れました。彼はジニャーニが死ぬだろうと言いました。しかし、ジニャーニは、誰にも責任はないので、自分が死んでも問題ないと請け負いました。それで、彼は剣でジニャーニの体を打ちつけました。大変驚いたことに、剣は体になんら影響することなく体をまっすぐに通過しました。ゴーラクナートは剣を右から左に、その逆に、前に後ろに通せることに気づきましたが、しかし、あたかも剣が虚空を通過しているかのように、アッラーマ・プラブはそれによって何ら影響されませんでした。

 このことは彼に実に激しい衝撃を与え、突如、彼は声を上げました。「私が成し遂げたことは一体何なのか。私はただ壺を焼いたに過ぎないが、あなたは不死なる存在の核心を得ている。偉大なるグルよ、どうぞ私をあなたの弟子とし、不滅の自らを知る方法をお教えください」。このように言い、シッダはジニャーニの足元に平伏し、ジニャーニは彼を弟子として受け入れ、彼に知識と無知を超えたを説きました。

 さて、この物語はシュリー・バガヴァーンの不滅の存在という真の境地の明確な例示であり、真理を愛する全ての人が、それを楽しみ、それを聞き、祝福を受けたと感じました。

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